2015年6月のテーマ写真館




 《 水の都・ヴェニスで働く船の数々 》


船は、人や物をのせて水上を移動したり、水面で作業を行う乗り物です。ヨット、漁船、艦艇など様々な種類がありますが、人や貨物を運ぶ船が「商船」です。船で運ばれた物資は、通常、トラックなど陸上の乗り物に積み替えられて流通しますが、道路のないヴェニスでは、全て船が担っています。ヴェニスは長い橋でヨーロッパ大陸と結ばれていますが、中心部の島々の交通は全て徒歩、あるいは船で、水上バスがや水上タクシーが人々を運び、警察、消防、救急もすべて船です。私たちの身近で道路を走るダンプカー、クレーン車、清掃車、宅配トラック・・・なども全て水に浮く船が担い、車輪に代わってスクリューで動いて働きます。ヴェニスは橋で本土と繋がっている駐車場とバス乗り場以外、ほとんど車は走れません。道路に代わって運河がくまなく張り巡らされており、たくさんの島は橋で結ばれますが、ヴェニスの橋は船が通過しやすいように太鼓形で、上り下りは階段になっています。道路もなく、橋は階段のため車は全く走れないため、運河を通って運ばれた物資は全て台車などに乗せて人力で細い通路を運びます。そのため、ヴェニスで働く船には、荷物の積み下ろしや、陸上運搬のための作業員が乗っています。船が唯一の交通手段のため、自家用のボートや自家用ゴンドラなどもあり、パトカーや救急車、消防車に至るまで全てを船が担っています。

洗濯物運搬船

渡し船

水上バスと乗り場


保冷貨物船

飲料運搬船

生花運搬船


土砂運搬船

建築資材運搬船

杭打ち船


建築作業船

宅配船

軍の警備艇


消防艇

救急船

水上警察船


排水運搬船

ゴミ運搬船

貨物運搬船


 ◆ 海の一言 :『ヴェニス、ベニス、ヴェネチュア?』


どれを使っても間違いではありません。「ベニス」、「ヴェニス」は英語の”Venice”の読みを基にしたもので、イタリア語の”Venezia”を基にしたのが「ベネチア」です。最近では、現地の発音に近い表記をするため、「ヴェネツィア」と書かれることも多くなっています。古来はラテン語でウェネティ人が住んでいたアドリア海の奥に拡がる土地をウェネティア (Venetia) と呼んだことから来るそうで、綴りがイタリアでのラテン語の読みに従い、「ヴェネツィア(ヴェネツャ)」となったそうです。フランス語で「ヴニーズ (Venise)」、ドイツ語で「ヴェネーディヒ (Venedig)」 と呼ばれます。日本語の表記では、「V」の発音に従った「ヴ」もありますが、あまりこだわらずに「ベニス」で良い気がします。

網の目のように張り巡らされた運河

たくさんの船が往来し、渋滞も起こる

本土と長い橋で結ばれる




海の写真のボルボックス  © 中村庸夫 無断転載を禁止します。