2014年5月のテーマ写真館




 《 ペリカン 》


ペリカン目・ペリカン属・ペリカン科の独特な形態の鳥で、アフリカ大陸からユーラシア大陸南部、南北アメリカ大陸沿岸部、オーストラリア、スリランカ、ニュージーランド、フィリピンなどに8種類が棲息します。
・モモイロペリカン
・コシグロペリカン=オーストラリアペリカン
・ニシハイイロペリカン
・アメリカシロペリカン
・カッショクペリカン
・フィリピンペリカン=ハイイロペリカン
・コシベニペリカン
などに分類され、さらにたくさんの亜種に分けられています。最大種はフィリピンペリカン=ハイイロペリカンで、嘴の先から足の先までの全長は170cmほど、翼を広げた時の幅は330cm、体重11kgにもなり、メスよりもオスの方が大型になります。しかし、フィリピンペリカンは、漁業と競合する害鳥として、漁民によるコロニーの破壊が行われ、生息数が減少しています。
沿岸干潟や湖沼、河川などに棲息して主に魚類を餌とし、くちばしは大型で長く、下くちばしから喉にかけて付いた伸縮自在な袋(咽喉嚢)で水ごとすくい取り、水だけを排出して魚を取ります。胃が体全体の重心にあり、餌を大量に呑み込んでもバランスを取って飛ぶことができます。主にアメリカ西岸に棲息するカッショクペリカンは上空から水中の魚を探し、急降下して水中にもぐり、獲物を捕らえます。
集団繁殖地(コロニー)を形成し、雄が巣の場所を決め、そこで雌に求愛して、巣を作り、雌が営巣し雄が巣材を運びます。雌雄交代で抱卵し、約1か月で孵化し、雌雄で子育てを行いますが、卵を複数個産んだ場合でも巣立つ雛は通常1羽だけです。
ペットとして飼育されて、人によく馴れ、地上では緩慢な動きで、おっとりとしたイメージですが、性格は激しく、ハトや鴨のひな鳥、子犬などを襲い、天敵は、イタチザメやシャチ、コヨーテなどです。くちばし下の大きな袋に物をつめて運ぶイメージから、運送会社のイメージキャラクターとして使われています。


モモイロペリカン、ウォルビスベイ、ナミビア

コシグロペリカン、モンキーマイア、西オーストラリア

モモイロペリカン、ウォルビスベイ、ナミビア


モモイロペリカン、ウォルビスベイ、ナミビア

カッショクペリカン、バハカリフォルニア、メキシコ

コシグロペリカン


モモイロペリカン、ウォルビスベイ、ナミビア

カッショクペリカン、カリフォルニア、アメリカ

カッショクペリカン、モンタレー、カリフォルニア


カッショクペリカン、カリフォルニア

カッショクペリカン、バハカリフォルニア、メキシコ

コシグロペリカン、モンキーマイア、西オーストラリア


 ◆ 海の一言 :『ダイオウグソクムシ』


幼児の人気生物は、子供の低い視線の前で活動するアリやダンゴムシで、幼児絵本や雑誌にしばしば登場します。ダンゴムシとダイオウグソクムシは同じ等脚類で、形が非常に似ており、大きさは違いますが、変な深海生物、と言う事で、最近大人気です。西大西洋のメキシコ湾周辺の200〜1000メートルの深さの海底に棲息し、堆積する有機物や落ちてくる魚の死骸などを食べ「海の掃除屋」と呼ばれ、体長50cmにもなります。 “グソク”の語源の、鎧や兜を意味する“具足”のような甲殻の構造や、たくさんの歩脚、深海を背泳ぎで泳ぐ姿も不思議な魅力だそうです。また、どこを見ているのか?何を考えているのか?全く分からない、トンボのような黒い複眼も変な魅力になっています。

ダイオウグソクムシ




海の写真のボルボックス  © 中村庸夫 無断転載を禁止します。