2013年11月のテーマ写真館




 《 髭クジラ - クジラpart5 》


鯨、Whaleはクジラ目の哺乳動物で、子供を出産し、乳で子育てする生物です。餌を捕らえる歯や口内形態からハクジラとヒゲクジラに大別されます。一般にヒゲクジラ類は歯をもたず、上顎から生えた「ひげ板」、「鯨鬚」(くじらひげ)と呼ばれる人間の爪のような組織でできた網のような役割の器官を使って、オキアミやプランクトン、ニシン、イワシ、シシャモ等の魚など、小さなエサを大量に濾し取って食べます。髭板は餌だけを残して海水を濾過する器官ですが、食性、種によって髭板の形状もそれぞれ異なります。コククジラは砂の中の生物を捕食し、セミクジラ以外のヒゲクジラの腹部の畝は餌を海水ごと大量に口に入れるときに蛇腹のように広げるものです。ヒゲクジラはハクジラに比べて体が大型化する傾向があり、最大のシロナガスクジラは体長33.6mの記録がありますが、ハクジラの最大種のマッコウクジラは、最大でも20m程度です。ヒゲクジラの多くは、低水温ながら餌が豊富な高緯度海域で夏の間餌を食べ、冬は水温の高い低緯度海域の繁殖域に大回遊します。夏の間、大量に餌を捕食し、脂皮にして蓄えて、餌が少ない温暖な低緯度海域で繁殖を行うのです。理由の一つに、産まれたばかりの仔鯨の脂皮が薄く、冷水に耐えられないともされます。そのため、冬のハワイや小笠原、沖縄などでホエールウォッチングが行えます。

関連書籍
「クジラたちの地球」(平凡社刊)中村庸夫・著
「クジラ・ウォッチング」(平凡社刊)中村庸夫・著
「クジラ」(平凡社刊)中村庸夫・著
「クジラの楽園」(平凡社刊)中村庸夫・著
「海の生き物百景」(宝島社刊)中村庸夫・著


シロナガスクジラの親子

ミナミセミクジラの親子

ザトウクジラの親子


ミンククジラ

コククジラ

バブル・ネット・フィーディングと呼ばれるザトウクジラの餌捕り


ザトウクジラ

横向きに浮かび口を広げ餌を食べるシロナガスクジラ

ミンククジラの親子


コククジラ

ナガスクジラの群れ

ナガスクジラの親子


 ◆ 海の一言 :『巨大水族館』


世界中に大きな水族館が次々に建設されていますが、水族館の大きさ比べは非常に難しいです。アメリカや日本のシーワールドのように、広大な敷地の中に、シャチやイルカのショープール、魚の水族館などの施設が点在するものは敷地面積が大きくなります。一方で、大きな建物の中に様々な展示施設やショープールがコンパクトに収められている所もあります。水槽の大きさ比べも難しいです。シャチやイルカのショープールはガラス窓はあまり大きくありませんが、面積が非常に大きくなり、日本最大の名古屋港水族館のショープールは幅60m、奥行き30m、最大水深12m、11,400tonもあります。魚類の大水槽を比較すると、昔は大阪・海遊館が5,400tonと世界最大でしたが、美ら海水族館が出来ると、ガラス幅22.5m、水量7,500tと世界最大になりました。その後、アラブ首長国連邦のドバイ水族館、ガラス幅32.88m、水量7,570tonがギネス記録を奪いました。さらに、アトランタのジョージア水族館の世界最大の水槽が、水量30,000tonと世界一になりました。そして昨年、シンガポールにS.E.A.水族館が出来、アクリルガラスの幅が38mのギネス記録となりました。しかし現在、中国のマカオに建設中の水族館は幅40mで世界一を狙っています。

名古屋港水族館

沖縄美ら海水族館

S.E.A.水族館




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