2013年08月のテーマ写真館




 《 魚の縦と横 》


魚の名前で「タテジマ・・・」や「ヨコシマ・・・」と付くものが数多くあります。これらの魚が泳いでいる姿を見ると、実は名前と、縞の方向が逆な事に気が付きます。どうして魚の場合に縦と横が逆になったのか?というと、魚を釣り上げた時、糸を持って頭を上にして吊り下げると縦縞や横縞に見えることから、「タテ」、「ヨコ」と名付けた、とされます。そのため、魚が普通に泳いでいると、模様の「縦」、と「横」は逆になってしまうのです。これらの魚が発見、記載された頃は、ガラスの水槽も、ダイビング機材も無く、生きて泳ぐ姿を見る事が出来なかったため、致し方が無かったのでしょう。


タテジマヘビギンポ

タテジマキンチャクダイ

ヨコシマクロダイ


タテジマヤッコ

カゴカキダイ(別名でタテジマと呼ばれる)

ヨコシマニセモチノウオ


ヨコスジイシモチ

ヨコシマタマガシラ

タテシマフエフキ


ヨコスジカジカ

ヨコスジフエダイ

ヨコシマサワラ


 ◆ 海の一言 :『キンチャクダイ(巾着鯛)』


キンチャクダイ科の魚で、日本海側では新潟県、太平洋側では相模湾以南に分布する、体長20cmほどの温帯種で、沖縄では見られませんが、台湾、中国には棲息します。成魚は黄色の地に細い青色の縦縞が数多く入りますが、幼魚は黒地で鰓の後方に黄色い横帯があり、親子で別種と考えられた時期もありました。どうして「巾着」なのか?というと、昔よく使われていた、布や皮製の、入口をすぼめて閉じられる手提げ袋も「巾着(キンチャク)」にちなみます。この魚を頭を上にしてぶら下げたとき、閉じられた巾着の形に似る、とのことから名づけられたもので、「磯巾着(イソギンチャク)」と同じ由来です。鯛科の魚ではありませんが、おめでたい鯛にあやかり「巾着鯛」とされました。

キンチャクダイの幼魚

キンチャクダイの成魚

キンチャクダイの成魚




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