2013年06月のテーマ写真館




 《 魚の歯 》


雑食性の人間の歯には門歯、犬歯、臼歯と何でも食べられるように様々な役目の歯があります。魚たちの歯や歯並びは、餌の種類や捕らえ方によって大きく違っています。プランクトンや魚などを丸のみにしている魚には小さい歯しかありません。そのためマグロも細かな歯です。イシダイの歯は癒合して強力になりウニや貝などを噛み砕いて食べられます。サンゴをかみ砕くブダイの仲間も融合した強力な歯です。上下各2枚が融合し、鋭い刃物のようになったフグの歯、肉を食いちぎるタチウオの鋭利な歯、ぬるぬるの魚を捉えるサメの歯。ウツボの歯は口の奥に向いて生え、獲物が逃げにくくなっています。ピラニアの名は、インディオの言語で「魚」を意味する"Pira"と、「歯」を意味する"Ranha"が合わさったもので、「歯のある魚」です。鮫の歯の形状や本数は種類によって違いますが、多くが6〜20列の歯を持ち、前列の歯がエサを捕らえるために使われ、歯が折れたり、すり減ると抜け落ち、後ろに倒れている予備の歯が立ち上がって前に出ます。

関連書籍:「魚の名前」(東京書籍刊)中村庸夫・著
「水中の擬態」(平凡社刊)中村庸夫・著
「海の生き物百景」(宝島社刊)中村庸夫・著

アオザメ

アオザメ

アオザメの顎


シノノメサカタザメ

シノノメサカタザメの口

シノノメサカタザメの歯


サンゴをかじるナンヨウブダイ

ナンヨウブダイの歯

かじられたサンゴ


シロワニ

シロワニの歯

コクテンフグ


ホホジロザメ

ホホジロザメの顎

サザナミフグ


ラブカ

ラブカの歯

タチウオ


ミツクリザメ

ミツクリザメ

ピラニア


オオカミウオ

オオカミウオの歯

トラウツボ


 ◆ 海の一言 :『軟骨魚類』


全身の骨格が軟骨で構成されるサメ、エイ、ギンザメの仲間です。軟骨魚類が硬骨魚類よりも原始的な特徴を持ち、生きた化石、とも呼ばれます。軟骨は長時間で分解されてしまうため、サメ類の化石はほとんど歯しか見つからず、昔は、サメの歯の化石が、「天狗の爪」との俗信が生まれました。軟骨魚類は普通の魚のような浮き袋を持たず、肝臓に肝油を蓄積して浮力調節を行うため、外洋性の種や深海ザメでは肝臓が大きく、人間の美容や健康に役立つスクアレン(スクアラン)が多く含まれます。また、サメの軟骨には、コンドロイチンが多く、コンドロイチンは、グルコサミンと併用すると効果的に膝の関節痛や腰痛などの予防や改善への効果が期待できます。また、軟骨に多く含まれるムコ多糖体というでんぷん質は、美容と健康を維持する上で、重要な働きを担う成分で、血中コレステロール値を下げたり関節の軟骨や椎間板を保護しています。さらに、ムコ多糖類は、皮膚の真皮に多く存在し、水分量の調節や肌のハリや弾力を保ち、保水性に優れ、美肌効果があるとされます。

オオメジロザメ

オニイトマキエイ

ゾウギンザメの仲間




海の写真のボルボックス  © 中村庸夫 無断転載を禁止します。