2013年04月のテーマ写真館




 《 エイ 》


「エイ」の仲間は、サメの一部の系統から分かれて進化した魚で、サメに似た仲間もいますが多くの種類は頭と胴と胸びれが一体となり、全体が扁平で、水平に広がった胸びれの縁の薄い部分を鳥のように羽ばたかせて泳ぎます。硬い骨を持たない原始的な軟骨魚類で、浮力を調節するための浮き袋を持たず、鰓蓋(えらぶた)の代わりに5〜6対の鰓裂を体の腹側に持ち、多くは体の中で子供が生まれてから出てくる卵胎生の魚です。長い尾を持ち、尾の鋭い棘に毒を持つ種類もいます。砂の海底に潜んで身を隠し、砂の中の貝やカニ、エビなどの甲殻類を食べる仲間や、イトマキエイの仲間のように、歯は持たず、大きな口を開けてプランクトンや他の魚の卵、サンゴの卵などを海水ごと口に入れ、鰓で食べ物だけ濾しとり、海水を鰓から外に出して食べる仲間など様々です。「エイ」の仲間なのに、「・・サメ」との名前が付き、サメと同じような外観で、尾鰭を左右に振って泳ぐ変わり者もいます。また、ノコギリエイのように頭部の鱗が変化してノコギリ状になった変なエイもいるのです。海の写真のボルボックスには、こんな変わり者の魚類、「エイ」の仲間がたくさんストックされています。

関連書籍:「魚の名前」(東京書籍刊)中村庸夫・著
「水中の擬態」(平凡社刊)中村庸夫・著
「海の生き物百景」(宝島社刊)中村庸夫・著

トビエイ

ナンヨウマンタ

Munk's devil ray(Mobula munkiana)


トビエイの棘

アカエイ

アカエイの口とエラ


ツバクロエイ

マダラトビエイ

マダラトビエイの群れ


シノノメサカタザメ

シノノメサカタザメ

シノノメサカタザメの歯


トンガリサカタザメ

ヒメイトマキエイ

ガンギエイ


ヒョウモンオトメエイ

ウシバナトビエイ

サカタザメ


 ◆ 海の一言 :『エイ』


日本語の「エイ」は、英語の「Ray」に似ますが、奈良時代以前から使われている言葉で、英語との相関関係はありません。エイは、魚偏に覃、あるいは魚偏に賁と書かれ、「海鷂魚」もエイで、アカエイは「赤海鷂魚」とも書かれます。エイの発音の源は体の形からエダヒラキ(枝開)からエイや、尾が長く柄に似るためにエにイが付いた。また、棘からエハリ(枝刺)で、それが変化したなど、多くの説があるそうです。

シビレエイ

オニイトマキエイ

ノコギリエイ



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