2012年3月のテーマ写真館




 《 生物の宝庫・モンテレー湾 》


アメリカ西海岸のモントレー沖合には切り立った海底渓谷があり、そこにぶつかったミネラルが豊富な海洋深層水が斜面に沿って浅瀬に上がってくるため、海の生物の宝庫となっています。ここには最大長60 m 、1日で最大30 cm も成長する海藻のジャイアントケルプが群生し、巨大な海中林を作ります。林の中は様々な生物を育むゆりかごとなり、小魚はケルプの間に身を隠し栄養塩により増殖したプランクトンを食べて成長します。そしてケルプの根元にはアワビ、ウニなどのケルプを食べるさまざまな生物が生育し、それらを餌にするラッコやアザラシ、そしてイルカやシャチ、クジラなど大型の海洋哺乳動物も集まるのです。このようにモントレーの海洋生態系は栄養豊かな海洋深層水が水面に湧き上がる湧昇流によって支えられているのです。


ハナゴンドウ

シロナガスクジラ

シャチ


カマイルカ

マイルカの群れ

セミイルカ


ザトウクジラの尾びれ

ザトウクジラの噴気孔

カニを食べるラッコ


貝を食べるラッコ

ラッコ

水中のラッコ


アザラシと休むラッコ

岩の上のハーバーシール

カリフォルニアアシカ


カリフォルニアアシカ

カリフォルニアアシカの群れ

アジサシ


ジャイアントケルプ

水面のジャイアントケルプ

ポイントロボス


 ◆ 海の一言 :『湧昇流』


海洋の深層の海水が表層に湧き上がる現象やその流れを湧昇流と呼びます。大きな海洋では、表層と深層にそれぞれ独立した海流が流れ、それらは温度や塩分濃度など物理的・化学的な性質の違いにより、通常は混ざり合うことがありません。しかし、海底の特殊な地形や、強い風によるコリオリの力などにより、地球上の一部の限られた海域では深層から表層へ海水が湧き上がります。湧昇域により深層水が表面にもたらされることで、植物プランクトンが増殖し、次々と上位の生物が増えていくため、非常に豊かな生態系が形成され、湧昇域は好漁場となるのです。

海中のハーバーシール

カリフォルニアアシカの群れ

ジャイアントケルプ



海の写真のボルボックス  © 中村庸夫 無断転載を禁止します。