2011年10月のテーマ写真館




 《 魚のゆりかご「潮溜まり(タイド・プール)」 》


潮が引くと磯の岩の窪みに海水が溜まって出来るのが「潮溜まり」で、プールのように大きなものまであり、英語では「タイド・プール」と呼ばれます。特に大潮の時になると、磯にはたくさんの潮溜まりが出来、そこをよく見るとたくさんの小魚の姿が見られます。晴れると太陽に照らされて水温が上がり、雨が降ると塩分が薄まるなど苛酷な環境ですが、小魚にとっては大きな魚に襲われない安全な場所なのです。シマスズメダイやイソスズメダイ、オヤビッチャ、メジナ、ボラなどのように中層や水面下を泳ぐ魚の幼魚もいますが、海藻の間や岩の隙間にもコケギンポやイソギンポ、カエルウオ、ナベカ、イソハゼ、ハオコゼなどたくさんの魚が隠れています。また、死滅回遊魚(季節来遊魚)のチョウチョウウオの幼魚などもいます。このように、潮溜まりはまさに小魚が育つゆりかごのような場所なのです。


満潮の磯

干潮の磯

潮溜まりの半水面


チョウチョウウオの幼魚

シマスズメダイの幼魚

イソスズメダイの幼魚


オヤビッチャの幼魚

メジナの幼魚

ボラの幼魚


カエルウオ

イソギンポ

コケギンポ


ナベカ

ハオコゼ

イソハゼ


 ◆ 海の一言 :『タツノオトシゴ』


龍は伝説の動物で実在しません。タツノオトシゴは特異な形態の魚で、小さいながら龍のようにも見えることから『龍(竜)の落とし子』と呼ばれています。魚とは思えない容姿のタツノオトシゴの仲間にはイバラタツ、タカクラタツ、などもいますが、顔が細長く「馬」のようにも見える事から、オオウミウマやクロウミウマという種類もいます。英語でタツノオトシゴの仲間は「sea horse」で、「海馬」で、日本の地方にはウミウマ、ウマウオ、ウマノカオ、ウマノコといった名があります。

オオウミウマ

雄の袋に卵を産むショートヘッドシーホースの雌



海の写真のボルボックス  © 中村庸夫 無断転載を禁止します。