2011年7月のテーマ写真館




 《 海の生物の保温 》


私たち人間は季節などによって異なる温度差から体を守るため、保温のために服を着ます。動物たちの多くは、季節により、冬用と夏用の毛皮を脱いで換毛し、温度調節を行います。寒く、冷たい海に生活する動物は、保温のため様々な技を身に着け、工夫して保温しています。ラッコは皮下脂肪が少なく、代わりに1平方センチ当たり約10万本ものアンダー・ファーと呼ばれる細かい毛を持ち、陸上も含めた動物の中で一番密で上等な毛皮をまとっています。その毛皮の保温力を保つため、グルーミングと呼ばれる毛づくろいが欠かせず、起きている時の多くの時間を、毛の間に空気を含ませるため、体中をかきむしっています。オットセイは英語で「Fur Seal=毛皮のアザラシ」と呼ばれるように、保温力に優れた密な毛皮を持ち体温を維持しています。一方のアザラシは硬くて短い毛皮で、あまり保温には役立たず、毛皮の下にぶ厚い脂肪層を蓄え、太った体で保温しているのです。セミクジラの仲間も、分厚い脂肪層で丸々と太り、保温を行っています。鳥類のペンギンは一見、羽毛で保温しているようですが、羽毛による保温は陸上でしか役に立たないため、水中での保温のため厚い皮下脂肪を蓄えており、その脂肪が重くて飛べない代わりに、海に潜って豊富な餌が獲れるのです。冬になっても冬眠しないホッキョクグマ(シロクマ)の場合は、北極圏の寒さに耐えるため、密な毛皮と脂肪の組み合わせで保温しています。海の写真のボルボックスには寒い海に暮らす様々な生物が豊富にストックされています。


タテゴトアザラシ

タテゴトアザラシ

ウェッデルアザラシ


ハーバーシール

ミナミゾウアザラシ

ズキンアザラシの子供


オウサマペンギン

シロクマ

ミナミセミクジラ


ラッコ

ラッコ

ラッコの毛皮


 ◆ 海の一言 :『海豹 (あざらし)』


アイヌの言葉で「アザラシ」は「トッカリ」で北海道ではこちらの方が通用します。「アザラシ」の「アザ」は、我が国に多いゴマフアザラシやゼニガタアザラシの体の、痣(あざ)のような模様を指すとされ、「痣之獣」が変化し、「アザラシ」となったようで、何とも気の毒な名前です。漢字は豹のような模様の海獣であることから「海豹」となった、とされています。

ゴマフアザラシの赤ちゃんは「ゴマちゃん」の愛称で親しまれています

ゴマフアザラシ

ゴマフアザラシ



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