2011年6月のテーマ写真館




 《 目玉模様 》


「眼状紋」とも呼ばれチョウチョウウオを始め様々な魚やカニ、昆虫などなどに見られる同心円状の模様です。生物の多くは同心円状のものを眼として認識するようで、それを攻撃したりします。そのため、目玉模様には、敵の注意を本物の目からそらして守る効果があると考えられます。また、大きな目玉模様によって、小さな体を敵に対して体が大きいように錯覚させる効果もあります。目玉模様がどのように形成されるかは、チョウの目玉模様に関して解明され、ディスタルレスという遺伝子が進化の過程で、新しいスイッチ機構を獲得して、目玉模様作りのセンターとして転用されるようになったとされます。最近は縁取りがある同心円の模様が描かれた風船が田んぼの鳥よけに使われますが、直ぐに学習され効果は薄いようです。色彩や模様によってありもしない毒性や攻撃力を誇示する対捕食者戦略を「ベイツ擬態」と呼び、マトウダイの巨大な目玉模様は的としてココを攻撃してもらうためではなく、巨大な魚の目玉に似せて、敵を威嚇するためだろう、とされます。海の写真のボルボックスには他にも多くの目玉模様の生物がストックされています。


トゲチョウチョウウオ

ジャノメガザミ

ニチリンダテハゼ


ミナミハタタテダイの幼魚

カニハゼ

マトウダイ


サウスアフリカンバタフライフィッシュ

シモフリタナバタウオ

アデヤッコ


ダンダラスズメダイの幼魚

エポーレットシャーク

イヤースポットエンジェルフィッシュ


ベニヒレイトヒキベラの幼魚

オヤニラミ

ヒレボシミノカサゴ


ウミヅキチョウチョウウオの幼魚

カンムリベラの幼魚

キンセンハゼ


 ◆ 海の一言 :『擬態』


英語で物真似芸や、物まね師、模倣者、擬態する生物、擬態などをmimicと呼びます。生物のmimicは他の生物や周囲の環境を真似て、相手を油断させて餌として捕らえるためや、逆に捕食生物に見つからないように、体を隠して身を守る術です。こうした技を持たないものは長い進化の歴史の間に淘汰を受け、残されて繁栄しているのが現在の擬態生物たちなのです。こうした擬態生物を撮影するには、探し出すカメラマンの鋭い目が必要で、水中では生物同士ばかりか、人間との間でも騙し合いが行われているのです。

ミミックオクトパス

ヒラメの真似をするミミックオクトパス

ウミヘビの真似をするミミックオクトパス



海の写真のボルボックス  © 中村庸夫 無断転載を禁止します。