2011年2月のテーマ写真館




 《 鯛でないタイ 》


「鯛」と言えばマダイ「真鯛」で、スズキ目・タイ科・マダイ属の魚です。いわゆる「タイ型」で、体色は濃い桜色に青色に輝く小斑点が散りばめられ、まさに日本を代表する魚の王者で、赤をめでたい色とする日本人の心根に通じ、お祝いの宴席に欠かせません。日本産のタイ科の魚類は、クロダイ、チダイ、ヘダイ・・など13種だけで、その代表が「真鯛」で、単に「鯛」と呼ぶ場合もこの種を指します。 マダイは桜の咲く季節に産卵のため浅瀬に寄り、その頃の体色は婚姻色で濃い桜色に輝くため「桜鯛(サクラダイ)」や「花見鯛」と呼ばれ、産卵を前に身が充実した旬で、極上品として扱われます。浦島太郎が龍宮城に行った時に鯛や平目と舞を踊る話や古事記、日本書紀、万葉集などにも登場しています。しかし、日本魚類学界が用いる標準和名で「・・タイ」と名付けられた魚が数多くいますが、ほとんどは鯛には似ても似つかない「あやかり鯛」ばかりなのです。


マダイ(タイ科)

スミレナガハナダイ(ハタ科)

タテジマキンチャクダイ(キンチャクダイ科)


イレズミフエダイ(フエダイ科)

シラコダイ(チョウチョウウオ科)

ネンブツダイ(テンジクダイ科)


ヒカリキンメダイ(ヒカリキンメダイ科)

タカノハダイ(タカノハダイ科)

アカアマダイ(アマダイ科)


ニザダイ(ニザダイ科)

アジアコショウダイ(イサキ科)

ニセネッタイスズメダイ(スズメダイ科)


ヒゲダイ(イサキ科)

カゴカキダイ(カゴカキダイ科)

マトウダイ(マトウダイ科)


 ◆ 海の一言 :『鯛(タイ)』


平安時代に、体形が平らなため「平魚(タイラウオ)」とされ、それが転化し「タイ」となったとの説があります。また、恵比寿様が釣る魚で「目出たい」に通じる語呂合わせで、転化し「タイ」となった説、体内に不飽和脂肪酸が少ないため腐り難く、長寿な魚であるため、慶事に欠かせない、「目出たい魚」として「タイ」と呼ばれたのではないか、ともされます。 古くから、「人は武士、花は桜、柱は檜、魚は鯛」といわれ、品位が高い事から、魚の王様の意味の「大位(タイイ)」で、「タイ」になったのではないか、などさまざまな説があるのが本物の真鯛です。



海の写真のボルボックス  © 中村庸夫 無断転載を禁止します。