2010年12月のテーマ写真館




 《 トウゾクカモメ 》


トウゾクカモメの分類は学者の間でも意見が分かれており、ここではトウゾクカモメやオオトウゾクカモメを含めて英語でSkuaと呼ばれる「トウゾクカモメ属」を解説します。「盗賊鴎」トウゾクカモメはその名の通り、洋上でカモメやミズナギドリなどの水鳥を探して飛び回り、発見すると空中でしつこく攻撃し、獲物を放したり吐き出させて奪い取ります。また、ペンギンやカモメ、ウミガラスなどさまざまな鳥の繁殖地に飛来し、親鳥の隙を突いて卵を盗んだり、雛を捕食します。また、アシカやオットセイの繁殖地で産まれた子供の胎盤や、死産の子供を食べます。さらに、死んだイルカやクジラ、アザラシ、アシカの肉も食べています。繁殖地は種類によって北半球にもありますが、多くは南極大陸の周辺の寒冷な島々で繁殖し、同じ島で繁殖する他の水鳥も襲い、自分の巣の近くで手軽に餌を得ています。
体長は50cmほどで、翼開長は130cmほどの大きな翼をもち、海上の飛翔能力にすぐれ繁殖期以外はほぼ世界中の洋上に飛来し、我が国にもやって来ます。嘴は黒く、太くてしっかりしており、翼の上下の初列風切基部に白色の斑があり、飛翔時にはかなり目立ちます。他の鳥の雛を襲いますが、自分の子供には子煩悩で、せっせと餌を運んで育てます。縄張り意識が強く、巣の付近に他の個体が入ると追い払います。また、親鳥は人が近づくと上空から頭をつついて攻撃してきます。雛も接近すると嘴でつついたり、いやなにおいのする胃液を吹きかけ、可愛らしさが全く感じられません。


イワトビペンギンの卵を盗んだトウゾクカモメ

イワトビペンギンの卵を奪って逃げる

イワトビペンギンの卵を自分の巣に運ぶ


イワトビペンギンの卵を割ってヒナを引きずり出す

ロイヤルペンギンの群れの近くでチャンスを狙う

子育てを行うトウゾクカモメ


ロイヤルペンギンの肉を食べる

ニュージーランドアシカの赤ちゃんの胎盤を食べる

ロイヤルペンギンを襲って食べる


死んだニュージーランドアシカを食べる

ニュージーランドアシカの赤ちゃんのへその緒を食べる

死んだニュージーランドアシカの肉を食べつくした


 ◆ 海の一言 :『ウミネコ』


ロシアから日本、朝鮮半島、中国沿岸に棲息するカモメ科・カモメ属の鳥で、我が国では周年見られ、鳴き声がネコに似るところから「海猫」です。海岸や漁港などに群れ、漁船のおこぼれを狙うことが多いです。しかし雑食で、両生類、昆虫、動物の死骸など何でも食べ、他の鳥類が捕らえた獲物を奪う事もあります。日本ではセグロカモメ、オオセグロカモメ、ユリカモメなど各種のカモメが見られますが、多くの場合このウミネコの事を「カモメ」と呼んでいます。八戸市の蕪島などが「ウミネコ繁殖地」として天然記念物に指定されています。



海の写真のボルボックス  © 中村庸夫 無断転載を禁止します。