2010年11月のテーマ写真館




 《 磯 》


海と陸とが出会う起伏に富んだ岩の海岸が磯で、岩と海面が入り組んで、立体的で複雑な地形で、日光を受けやすく、岩にはさまざまな藻類が繁殖し、海の林を形作っています。海藻が魚や貝類の餌となり、森のように立体的な環境の中に多くの生物が生息し、産卵や稚魚の育成の場になります。また、散らばる石の下、岩の隙間などはさまざまな生物にとって絶好の隠れ家となります。磯には引き潮のときに岩の窪みに海水が残されてタイド・プール(潮だまり)ができ、外洋から大きな捕食生物が来れない安全な場所になります。しかし、雨の時には水がたまって塩分が薄くなり、北国の冬には雪が積もって冷え、夏は太陽光によって水温が40度にもなり、塩分が濃くなる過酷な環境ですが、こうした条件に適応した生物が数多く棲みます。海藻や岩の上の珪藻は窒素やリンなどの汚染物質を栄養源とし、二酸化炭素を吸収して酸素を発生させ海ばかりか地球全体の環境に役立っています。身近で、さまざまな生物がたくさん棲む磯は『里海』として、漁場や磯遊びの場として欠かせない場所になっています。


干潮の磯

満潮の磯

ヒジキに覆われた磯


海藻の生い茂る水中

岩に砕け散る波

フジツボ


カメノテ

ヒザラガイ

タマキビガイ


ムラサキウニ

ヤツデヒトデ

フナムシ


ホンヤドカリ

アメフラシ

マダコ


ナベカ

キヌバリ

アオウミウシ


 ◆ 海の一言 :『磯』


「磯」とは、海ばかりか、湖などの波打ち際や水際の、特に、岩や石の多い海岸そのものや波をかぶったり流れに洗われたりする水際の岩石を「磯」と呼びます。「磯」の言葉は、「磯遊び」、「磯巾着」(イソギンチャク)、「磯魚」、「磯釣り」などいろいろ使われ、「磯明け」や「磯開き」などは磯の生物を採ることが解禁になる事、「磯焼け」は海藻の多くが無くなり水棲生物が減少する事、「磯粟餅」は軟体動物で磯に見られ粟餅に似て感光する生物、「磯銀宝」(イソギンポ)、「磯ごんべ」、「磯鯊」(イソハゼ)、「磯場てんぐ」、「磯鮪」、「磯すずめだい」、「磯すじえび」「磯がに」「磯屑がに」「磯にな」「磯海綿」、「磯陰」、「磯貝」、「磯牡蠣」などたくさんの呼び名があります。

イソガニ

ミナミウメボシイソギンチャク

イソスジエビ



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