2010年07月のテーマ写真館




 《 カリブ海の島々part1 》


カリブ海の島々に始めて辿りついたヨーロッパ人はコロンブスです。海図も航海計器もろくにない時代に大航海を行い辿り着いた島々には先住民がいました。その後、ヨーロッパから領土や財宝を求めて船が来襲し、住民の人々はヨーロッパ人が持ち込んだ病気で激減し、現在の住民の多くは西欧各国からの移民やアフリカからの奴隷、そしてインドやアジアから労働に来た人々などの混血です。 こうした歴史とは裏腹に、ヘミングウェーがこよなく愛した豊かな海で、爽やかな貿易風が吹きぬけ、美しいサンゴ礁の島々が数多く点在し、イルカやクジラ、マナティー、そしてカリブ海独特の固有種の魚たちが多く見られます。

参考文献
「海の名前」(東京書籍刊)中村庸夫・著
「島の名前」(東京書籍刊)中村庸夫・著
「七つの海の物語」(データハウス刊)中村庸夫・著



アルーバ島(オランダ):ベネズエラ北西に浮かぶ島で、島名の由来は、原住インディアンの言葉で「貝殻の島」というものです。


アンティグア島(アンティグア・バーブーダ):コロンブスが訪れ、セビリアにある教会の名にちなんでつけました。
スペイン語のアンティグアは「古い」(英語のアンティーク)の意味です。


キュラソー島(オランダ):ペパーミントの産地で、その原住インディアンの呼び方にCuracaoと当て字を当てた、とも言われます。
リキュールのキュラソーが有名で、首都のウイレムスタッドは世界遺産です。


グランド・ケイマン島(ケイマン諸島):インディオの言葉で「イグアナ」を意味する「カイマナ」からケイマンとなったものです。
昔、海賊の本拠地があり、スペイン船の財宝が隠されているとの噂があります。


グランド・ターク島(イギリス):イスパニョーラ島のキタに浮かぶ、イギリスの海外領土のタークス・アンド・カイコス諸島の首都の島です。


コズメル島(メキシコ):ユカタン半島の東側に浮かぶ島で、マヤの遺跡サン・ゲルバシオがあり、コズメルはマヤ語で「ツバメの島」の意味です。


ジャマイカ島(イギリス):インディアンが、ハイマカ「泉の湧き出る大地」、と呼んでいたのが語源です。
18世紀にヨーロッパで紅茶やコーヒーに砂糖を入れる習慣が広まり、世界最大のサトウキビ生産地となりました。


セント・ジョン島:(アメリカ):財閥のロックフェラー家が私有した島で、島の3分の2が国立自然公園です。ロックフェラー家の別荘は、リゾートホテルとして残されています。


セント・トーマス島(アメリカ):ヴァージン諸島の中心にある島で、島名はイエスの12人の弟子の一人、トーマスにちなみ、ギリシャ語で「双子」という意味です。首都のシャーロット・アマリエはデンマーク王妃の名にちなみます。


セント・マーティン島(フランス、オランダ):コロンブスが1493年のキリスト教の守護聖人の「聖マルティヌスの日」に発見した事にちなんで名付けました。その後進出したフランスとオランダが島を半分ずつ領有します。


イスパニョーラ島(ドミニカ共和国):コロンブスが発見した際に、スペインを思い出し、イスパニョーラ島と名付けました。
島の東側がスペイン領をへてドミニカ共和国となっています。


ドライ・トートゥガス島(アメリカ): キー・ウエストの西に浮かび、海亀の産卵地のため「亀の島」ラス・トルトゥガスと名付けられ、
フォート・ジェファーソン要塞が聳えます。


 ◆ 海の一言 :『里海』


海と陸との接する波打ち際の、河口干潟、磯、アマモ場、マングローブ林など、潮の干満の影響を受ける浅くて広い海には多様な生物が棲息し、昔から人間と海とが身近に出会い、利用し、交流する場所、『里海』でした。『里海』は人間の影響下に多様な生態系が維持され、里山の沿岸海域版とも言え、昔から人々は魚や海藻を獲り、貝などを堀って食し、各地に貝塚が残されています。潮の干満のある広い『里海』は汚染された海の水を浄化し、そこに生きる生物が光合成を行い、地球温暖化の防止に大きく役立ち、豊かな自然を与えてくれています。その一方で、浅い『里海』は埋め立てが容易なため、世界的な環境問題にもなっています。

干潟

マングローブ林



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