2010年05月のテーマ写真館




 《 水族の行動展示 》


最近、動物園や水族館が面白くなっています。従来の、水槽の窓から水槽内を覗き込む、「ウオ覗き」に対し、旭山動物園が行動や能力を見せる「行動展示」を取り入れ、生物を自然の姿で見せるための「生態展示」の要素も持たせるようになったのです。
ペンギンが泳ぐ水槽の水中トンネルから、上空を飛ぶように泳ぐペンギンが見られたり、階を縦断するトンネルをアザラシが行き交う姿が見られたり、ホッキョクグマが頭の上を通る姿や、プールへのダイビングなど迫力ある行動が観察できるのです。
こうした「行動展示・生態展示」の手法は各地の水族館にも取り入れられ、水槽の上から水面を、トンネルから水槽内部を、そして水槽内に出っ張った球形の窓から魚眼で水槽内を覗け、水槽内をエスカレーターやエレベーターで通り抜け、生物が通路のパイプの中を通過する様子を見せる所までも出てきました。そして、回遊水槽の外側やドーナツの内側、上や下から見られる所までもあります。こんな水槽では自分がすっかり海の中に入った気分になってしまうのです。

「水族館ウォッチング」(平凡社)中村庸夫・著
「水族館に行こう」(平凡社)中村庸夫・著
「水族館で遊ぶ」(実業之日本社)中村庸夫、中村武弘・著



しながわ水族館

しながわ水族館

しながわ水族館


旭山動物園

旭山動物園

しものせき水族館・海響館


しものせき水族館・海響館

旭山動物園

横浜・八景島シーパラダイス


旭山動物園

旭山動物園

富士湧水の里水族館


 ◆ 海の一言 :『水族』


水族館に行くと「水族」とは一体何なのだろう、考えさせられます。動・植物などあらゆる生物のうち、海や湖、川、池、沼、用水路、水田、井戸、地下水など「水」に頼る生物が「水族」と呼ばれます。「水族」には、魚はもちろん、ヒトデやナマコ、貝、海老、蟹、海蛇から植物の海藻や海草、水草などさまざまな生物がいます。水中や水辺で餌を獲るペンギンやペリカン、カモメ、ツノメドリ、カモなどの鳥類、蛙やサンショウウオなどの両生類ももちろん水族です。鯨、イルカ、アシカ、アザラシ、ラッコや淡水のマナティー、カワウソに加え、北極の氷の海に生活を頼るシロクマも海洋哺乳動物として扱います。また、ゲンゴロウやタガメ、ミズカマキリ、蛍、トンボのヤゴ、ミズスマシなど水生昆虫も水族で、稲さえも水族として展示し田植えや稲刈りを行なう水族館もあります。ワニやミズトカゲ、カバを展示する水族館もあり、水族館がますます面白くなってきました。

カエル

カバ

カジメ(海藻)



海の写真のボルボックス  © 中村庸夫 無断転載を禁止します。