2009年9月のテーマ写真館




 《 道具を使う海の知恵者・ラッコ 》


ラッコは海に住むイタチの仲間の海獣類で、水かきのある後脚を使い水中を泳ぎ、40mほどまで潜れます。また、尾は平べったく、水面に仰向けに浮かんでいるときは、これを左右に振って泳ぎます。
成熟した雄は体重、約40kg、雌は体重35kg位で、海に仰向けに浮かんで子供を生み、お腹に乗せて育児を行います。生まれる子供の毛は茶色で、体重約1.5kg 体長約40cmで、短いと一年、甘えん坊は2年以上お母さんに育てられます。重たくなると、頭だけお母さんのお腹に乗せて暮らします。成長とともにだんだんと黒くなり、3歳を過ぎると頭から毛がだんだん白くなり、6歳を過ぎると頭全体が白銀色に変わります。
ラッコは北太平洋の水温が2〜15℃位の冷たく、海藻が多い岩礁地帯に棲み、保温のための厚い皮下脂肪は持たない代わりに良質な毛を発達させています。1平方センチ当たり約10万本と、哺乳動物の中ではもっとも密度が高い毛が生え、上質な毛の隙間に空気をためて、保温効果を得ています。
そして、カロリーの高い貝やカニなどを潜って獲り、お腹に乗せた石を道具にして、そこに叩きつけて殻を割って大量に食べます。また、潮や風に流されないよう、ケルプに体を巻きつけて錨の代わりにして眠ります。


密な毛の間にグルーミングで空気を入れ体が浮くようにするのです

グルーミングで地肌から出る脂分を毛につけ、水をはじくようにします

前脚を舐めてグルーミングをする


アワビを抱えて泳ぐ

自分のお気に入りの石があり、持ち歩くラッコもいます

潜ると毛の間の空気が圧縮されて細かい泡が出ます


道具を使う動物で、お腹に石を乗せ、手に持った貝を叩きつけて割ります

防寒のため、餌を大量に食べ熱に変えています

エビ、カニなどは殻ごとがりがり食べてしまいます


アワビ、ホタテ貝、ムール貝、ミルガイの大好きです

ヒトデやウニ、ナマコ、イカ、タコなども食べます

若いラッコは毎日体重の約35%程度の餌を食べます


海藻が多いところでは、流されないように、海藻を体に巻き付けて眠ます

熊やコヨーテに襲われないため通常は水面に浮かんで眠ります

ケルプの中の若い固体


尻尾の近くに2つのおっぱいがあり、お尻をお母さんの顔に向けて飲みます

水面に浮かんで1頭の子供を産み、お腹に乗せて子育てをします

お母さんのお腹の上で育つ


お腹の上で甘えて過ごす

大きくなった子供は頭だけお母さんのお腹に乗せて休みます

一人で泳ぐ赤ちゃん


アザラシのいる浜辺に接近

安全が確保されると岩に上がってアザラシと休みます

岩の上でくつろぐ


たくさん集まり、ラフトと呼ばれ、いかだの様に密集して眠ります

じゃれ合う若い固体

年をった銀色ラッコ


 ◆ 海の一言 :『ラッコ』


北海道から千島列島、アリューシャン列島、アラスカ沿岸からアメリカのカリフォルニア北部の沿岸などに棲息するカワウソに近い種類の動物です。ラッコ名はアイヌ語とされ、学名のEnhydra lutrisは「水に住むカワウソ似た(動物)」の意味です。また、英語でもSea otter「海のカワウソ」と呼ばれます。



海の写真のボルボックス  © 中村庸夫 無断転載を禁止します。