2009年6月のテーマ写真館




 《 生物発光〜生物は何故光るのか?〜 》


●ホタルは発光色、発光パターン等により配偶行動の交信を行い、光で敵をおどかします。また、毒を持っていて食べるとまずいことを敵に警告する光とされます。
●ヒカリキンメは半月形の発光器を瞼のような膜で覆って光の点滅を行い、仲間とコミュニケーションすると考えられています。
●ウミホタルは敵に遭遇すると、体内から発光液を出し、自分は暗いところに逃げるそうです。
●チョウチンアンコウやハダカイワシ類、昆虫の幼虫のGrow warm(土蛍)の発光は餌の誘引とされます。
●ヒイラギ科の魚は腹面一帯をぼんやりと発光させ、昼間下から見上げると、明るい背景に溶け込み敵から隠れる働きや、メスを誘引する役割を持つそうです。
●ヤリイカは光ることでメスを誘引することが知られています。
●ホタルイカは、体内で発光物質を作って発光し、外敵に対する威嚇、眩惑のため強いフラッシュのような光を出す一方で、弱い光を出して明るい海面に溶け込み、外敵に見つかりにくくするそうです。
●サンゴやイソギンチャクは、共生する褐虫藻が太陽光で光合成し栄養の提供をしますが、太陽光には有害な紫外線も含まれるため、褐虫藻は身を守るため紫外線防御タンパク質を持ちます。その防御タンパク質がブラックライトから出る紫外線に反応して活性化して発光するのです。

生物発光の目的はコミュニケーション、照明、餌生物の誘引、外敵に対する防衛や威嚇、眩惑などいろいろ推察されています。しかし、クラゲ、エビ、原生動物(夜光虫等)、発光細菌(バクテリア)などはなぜ発光するのか謎に包まれています。

●発光バクテリアの発光酵素による自力発光や夜光虫、キノコ、ホタルの発光などは、ルシフェリン-ルシフェラーゼ反応を体内で起こさせるものです。
発光バクテリアは水中を漂い、深海性魚類やエビ、発光クラゲ、ウミサボテン、ウミホタル等の捕食生物の細胞内に蓄積され、その体内で発光するものもいます。
●ヒカリキンメやマツカサウオ、チョウチンアンコウ、ミミイカなどのように発光バクテリアを増殖させるための器官を持ち、共生関係となり微生物を制御し、家主の生き物が電気信号を発し発光を制御するそうです。
●オワンクラゲの発光はイクオリンという発光タンパク質がカルシウムイオンに反応して発光します。オワンクラゲにはGFP(緑色蛍光タンパク質)という別の発光タンパク質も存在します。
●キノコ類のヤコウタケ(夜光茸)は小笠原諸島や八丈島に自生しグリーンペペと呼ばれ、ルシフェリン-ルシフェラーゼ反応によって緑色の光を放つのです。日本ではその他シイノトモシビタケ、ツキヨタケ、スズメタケ、アミヒカリタケなど発光キノコが9種類ほどありますが発光目的は分からないそうです。



マツカサウオ

ヒカリキンメダイ

ヨコエソ


ホタルイカ

ホタルイカ

ホタルイカ


ウミホタル

オワンクラゲ

ウコンハネガイ


サンゴの発光

サンゴの発光

イソギンチャクの発光


サンゴの発光1

サンゴの発光2

サンゴの発光3


↑サンゴの発光1
のストロボ撮影

↑サンゴの発光2
のストロボ撮影

↑サンゴの発光3
のストロボ撮影


グリーンペペ

シイノトモシビダケ

ジガミグサ


ヘイケボタル

グロ−イング・ワーム(土蛍)

グロ−イング・ワーム(土蛍)


 ◆ 海の一言 :『ホタルイカ』


「蛍のように発光するイカ」であるところから「ホタルイカ(蛍烏賊)」の和名で、ラテン語の眩いとの意味の(scintillans)から学名:Watasenia scintillansです。雄は胴長4cm程、雌は6cm程の小型で、生態や生活史は謎に包まれています。発光器は腕の先、頭部、胴部、眼の周りなどにありますが全て腹側にあります。自力で発光物質を作って発光し、発光が終わって酸化した発光物質を肝臓でリサイクルし、再び体の各所の発光器官へと送るとされます。明るい時は発光を強くし、暗いと発光を弱め、自分の体をカムフラージュし、外敵から身を守るため発光調整をしているとされます。腕の発光器は触れたり刺激を受ける強い発光をするため、外敵から襲われたときの目眩ましでないかとされます。富山湾は文化財保護法によって「ホタルイカ産卵群遊海面」として、特別天然記念物に指定されていますが、日本で唯一食べても良い特別天然記念物なのです。



海の写真のボルボックス  © 中村庸夫 無断転載を禁止します。