2008年9月のテーマ写真館




 《 干潟 》


潮が引くと砂や泥の平らな地形が広がり、潮が満ちると海水に覆われて浅い海の底になるのが干潟で、砂や泥が川から運ばれて溜まりやすい、内湾や大きな河川の河口に作られます。干潟は人間と海とが出会い、利用する、『里海』で、人々は貝などを堀って食し貝塚が残されています。 
干潟では潮の満ち干の海水の移動や、波の影響で水がかき混ぜられ、酸素や二酸化炭素が水によく溶け込み、広い面積で太陽の光を受けることができます。さらに、川の上流からミネラルが運ばれて栄養豊かで、たくさんの海の動物や植物を養っているのです。
干潟は地球温暖化の防止の役に立ち、海の汚染をきれいにし、豊かな自然を与えてくれています。干潟の砂や泥には活性汚泥と呼ばれる微生物が棲み、汚染の元となる有機物を吸着、分解しながら増殖して水をきれいにします。砂浜で波がくだけ、潮が引いたときに干潟の泥が空気に触れることなどで、有機物の分解に必要な酸素が海水や泥の中に供給され、潮の干満で活性汚泥に海水が多く触れ、上げた潮が引く時に砂や泥の中に染み込み、更に海水を浄化します。
干潟は昔から埋め立てられ、広い浅瀬がなくなると、渡り鳥や漁師さんに影響があるばかりか、地球全体の環境にも大きな影響が及びます。


潮が引いて徐々に干潟が現れる

潮干狩りをする人

波が作り出した砂紋


アサリを掘る漁師

干潟の代表的な生物、アサリ。砂に潜ろうとしている

今では一部の干潟でしか見ることができなくなったカワアイ


足跡を残し歩き回るウミニナ

水管で餌の匂いを嗅いで活発に歩き回るアラムシロ。死んだ生物などを食べて干潟を掃除する

ユビナガホンヤドカリ


コメツキガニ。砂の表面に付着した有機物を食べて砂団子を作る

威嚇したポーズをとるアシハラガニ

ハサミを挙げて求愛のダンスをするチゴガニ


水面から目を出すヤマトオサガニ

砂に隠れるカレイの稚魚

ヒメハゼ


尾っぽの付け根に毒針を持つアカエイ

ナミノハナ

スジエビの仲間


餌を探し歩くセイタカシギ

干潟に飛来したアオサギ

餌を探し泳ぐカワウ



 ◆ 海の一言 :『アサリ(浅蜊)』


ハマグリなどと同じマルスダレ貝科に属する、殻長4cmほどの二枚貝で、北海道から日本各地、朝鮮半島や台湾、フィリピンにまで分布します。湾奥の淡水が流れ込む汽水域の砂泥中に棲み、潮間帯から干潮線下10mほどまでの、浅い部分に棲息します。一般的に貝殻は布目状で、模様は変異に富み、横縞や幾何学模様など、同じものが無いほど異なる。しかし北海道のアサリはやや大型で、殻に目立った模様が少なく、黄褐色をしています。



海の写真のボルボックス  © 中村庸夫 無断転載を禁止します。