2008年7月のテーマ写真館




 《 海牛類(かいぎゅうるい) 》


来年は丑年。陸上では牛ですが海では「ウミウシ」や「海牛類」。海の写真のボルボックスでは干支にちなみ軟体動物の可愛い「ウミウシ」に続いて「海牛類」をご紹介します。
「海牛類」は草食性で、浅海に生えるアマモや海藻、水草など主なエサとし、温厚な動物で、同じ草食動物のゾウと近縁とされます。水中生活に適応して前脚が鰭になり、後ろ脚は退化し胴体に隠れています。エサとなる植物を胃内で発酵させてガスが発生し、体内にたまって比重が軽くなり潜水が困難なため、比重の重い骨格を備えています。
分類上は海牛目:(Sirenia)のジュゴン科とマナティー科に分けられ、ジュゴンとアメリカマナティー(フロリダマナティー)、アマゾンマナティー、アフリカマナティーの4種だけです。海牛目のラテン名 Sirenia は、ギリシャ神話の女怪セイレーンに由来し、妖艶な姿と歌声で船乗りたちを魅了して海に引きずり込んだと言われます。
人魚伝説のモデルになった動物で、コロンブスに人魚と間違われたのがマナティーで、ポルトガルの航海者に人魚と思われたのがジュゴンです。


アメリカマナティーの親子

アメリカマナティー

湧き水に集まるアメリカマナティー


アメリカマナティー

アメリカマナティー

アメリカマナティー


脇の下の乳首からオッパイを飲むアメリカマナティー

アフリカマナティー

ジュゴン


ジュゴン

ジュゴン

ジュゴン


 ◆ 海の一言 :『ステラーダイカイギュウ(ステラー大海牛)』


体長11m、体重6tonにも及ぶ巨大な海牛類で、地球の寒冷化の際に減ってしまった亜熱帯性のアマモ類から、寒冷地のコンブ類などに食性を変え、体が大型化して冷たい海に適応したとされます。ベーリング海に棲息していましたが、1768年に乱獲により絶滅しました。学名Hydrodamalis gigasのHydroは「水、海」、でdamalisは「牛」、gigasは「巨人」でまさに「大海牛」です。



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