2008年3月のテーマ写真館




 《 シャチ(鯱) 》


シャチはクジラ目・マイルカ科・シャチ属のイルカに近い歯鯨で、北極海や南極海から赤道直下まで世界中の海に生息し、鋭い歯で獲物を引き裂いて食べます。ニシンやサケなどの魚から、サメ、イトマキエイ、アザラシ、イルカから大型の髭鯨まで何でも食べ、海の食物連鎖の頂点におり、天敵は人間のみです。
「シャチ」はアイヌの、「魚を追い込んで漁を助ける”沖の神”」という言い伝えに基づく名で、頭が虎、体が魚であるところから「鯱」の字が当てられています。
シャチは水中を最も速く泳ぐ哺乳類として知られ、時速80kmに達することもあります。シャチは背中が黒、腹が白のツートンで、両目上に楕円形の白い斑紋(アイパッチ)、胸ビレと尾ビレとの間に白い斑紋、背ビレ根本に灰色のサドルパッチなどがあり固体毎に微妙に違い、この模様や背ビレの形状で個体識別されます。
雄は最大で体長9.8m、体重10t近くになり、雄の平均寿命が約30年に対し、雌は約50年で、雌の最高寿命は約80年とされます。
シャチは社会性が強く賢い動物で、人間を襲う事はありません。しかし昔は獰猛と思われていたようで、学名「Orcinus Orca」の属名「Orcinus」はラテン語で「冥界の」、種名「Orca」は「魔物」で、「冥界の魔物」です。また英名では「Killer Whale」で「殺し屋クジラ」です。


生まれたばかりの子供と親

ジャンプするシャチ

水面で潮を吹く雄のシャチ


オタリア(アシカの仲間)を襲うシャチ

3頭のジャンプ

ジャンプ後水中に飛び込むシーン


2頭のジャンプ

水面から飛び出すシャチ

水面に落ちるシャチ


水面を猛スピードで泳ぐ

人間を乗せるパフォーマンス

体温の測定


 ◆ 海の一言 :『サカマタ(坂又、逆戟)』


昔は「サカマタ」がシャチの標準和名で、「サカマタ」(逆又、逆戟)は、水面上に垂直に立った背びれが中国の古い武器「戟(げき)」に見えたからとされます。雄の背ビレは垂直で2m以上になり、雌の背ビレは雄より小さく、婉曲しています。昔の漁師はシャチやゴンドウを「タカ」「タカマツ」「クジラトウシ」などと呼んでいたようで、身体が黒い歯鯨をまとめて認識していたようです。

※シャチが紹介されている関係図書:「水族館で遊ぶ」:実業之日本社、「水族館へいこう」:平凡社、「水族館ウオッチング」:平凡社



海の写真のボルボックス  © 中村庸夫 無断転載を禁止します。