2008年1月のテーマ写真館




 《 日本の鯛 》


北海道以南の水深200m以浅に棲息する体長1mにおよぶ魚で、「タイ型」で、体色は濃い桜色で、青色に輝く小斑点が散りばめられ、魚の王者にふさわしいものです。日本産のタイ科の魚類は13種だけで、その代表が「真鯛」で、単に「鯛」と呼ぶ場合もこの種類を指します。海幸彦の針にかかった「赤女(アカメ)」の話、浦島太郎が龍宮城に行って鯛や平目と舞を踊る話、古事記、日本書紀、万葉集などにも鯛の事が記されます。平安時代に、体が平らなところからか「平魚(タイラウオ)」と記述され、それが転化し「タイ」となったとの説や、恵比寿様が釣る魚で「目出たい」に通じる語呂で「タイ」となった説、体内に不飽和脂肪酸が少なく腐り難く、お供え物として重宝で、長寿な魚であるため、慶事に欠かせない、「目出たい魚」として「タイ」と呼ばれたのではないか、ともされます。 「延の魚(テイノイオ)」とも呼ばれ、朝廷で召し上がる魚と考えられ、品位、味が上等な事から、魚の王様の意味の「大位(タイイ)」から「タイ」になったのではないか、との説もあります。「赤女(あかめ)」と呼ばれたように、鮮やかな赤い体色、勇壮な姿形などが優れ、「大位」とされたと思われます。「鯛」の字は、周の文王と太公望の伝説からくる漢字と理解され、日本人が「タイ」に当てはめたそうです。
参考文献:「魚の名前」(東京書籍)中村庸夫・著


マダイの鱗

マダイ(天然)

マダイ


キダイのお造り

キダイ

キダイ


チダイ

ミナミクロダイ

ヘダイ


クロダイ

ナンヨウチヌ

キチヌ



 ◆ 海の一言 :『魚(サカナ、ウオ、ギョ)』


古くから魚類は「イヲ」「ウヲ」や「ナ」などと呼ばれ、やがて魚類の総称が「ウオ」、食べ物としての魚が「ナ」と呼ばれるようになったとされます。「サカナ」は「肴」が語源とされ、昔は塩、味噌など食物だけでなく歌や踊りなど酒に添え場を盛り上げるものも全てが「酒菜(サカナ)」とよばれていたそうです。江戸時代以降は「肴」に魚が用いられることが多くなり、特に酒に合う「ナ」が「サカナ」と呼ばれるようになったとされています。こうした由来からか、昔の国語教育でも魚を「サカナ」ではなく「ウオ」と訓ませていました。関西地方には魚を「ウオ」と呼ぶ習慣が残り、昔から漁船は川に入って河岸に船を止めて魚を水揚げしたため、魚を取引する市場を関東でも「魚河岸(ウオガシ)」と呼びます。魚の字は縦にした魚の頭、胴体、尾を描いた中国の象形文字で、初期は魚の総称としてよりも魚偏として用いられたようです。ちなみに魚を表す子供言葉の「トト」は蒙古系のタタール族の言葉だそうです。
参考文献:「魚の名前」(東京書籍)中村庸夫・著



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