2006年3月のテーマ写真館




 《 ザトウクジラ(1) 》


最大体長19メートル、体重65トンにもなり、季節に合わせて移動しながら生活するクジラで、北太平洋では冬になると沖縄や小笠原、ハワイなど暖かい海域に回遊し、岸近くの浅い、波静かな島影に集まり、繁殖行動を行います。 雄は水深15メートルほどに潜って「クジラの歌」を歌います。歌は飛行機のジェットエンジンと同じ位の出力と言われ、広い海の中で何十キロも先まで伝わります。雌を呼ぶための高い声のフレーズと、他の雄に「ここは自分の縄張りだから近づくな」と言う威嚇するような、低いフレーズの繰り返しで、雌が来るまで何時間も歌うことがあります。
妊娠した雌は、次の年の冬、暖かい繁殖地に来て子供を出産します。雌は、私たち人間と同じようにおっぱいで子供を育て、3ヶ月程暖かい海域の岸近くで過ごします。 春になると、餌がたくさんあるアラスカなど寒い海を目指し、何千キロも大回遊します。ザトウクジラの餌はオキアミやシシャモ、ニシンなどで、海中に潜って餌の下で泡を出して餌を閉じ込め、水面に追い上げて海水ごと口に餌を入れ、口の回りに生えたクジラ・ヒゲと呼ばれる、ブラシの間から海水だけを外に吐き出し、餌だけを飲み込んで食べるのです。
このようにザトウクジラは、1年の半年位を寒い海でたくさんの餌を食べて過ごし、あとの半分は、暖かい海へ大回遊するのです。


アラスカでダイナミックなブリーチング(ジャンプ)を行うザトウクジラ

水面から飛び出すザトウクジラ(ハワイ)

ザトウクジラの親子とエスコートの雄(カリブ海)


ザトウクジラの親子(ハワイ)

雌を巡って争う2頭の雄のザトウクジラ(ハワイ)

ブリーチング(ジャンプ)して遊ぶザトウクジラの子供(ハワイ)


水中で裏返しになって戯れるザトウクジラ(カリブ海)

ザトウクジラの尾びれ(オーストラリア)

私に向かってきたザトウクジラ(ハワイ)


ワイキキ沖をのんびりと泳ぐザトウクジラ

バブルネットフィーディングでニシンを食べるザトウクジラ(アラスカ)

アラスカでのザトウクジラの噴気(潮吹き)


ザトウクジラと客船(アラスカ)

ザトウクジラのウオッチング(カナダ)

ザトウクジラのウオッチング(アメリカ)


ザトウクジラの噴気口(鼻)は2つある(ハワイ)

尾びれで水面をたたくザトウクジラ(アメリカ)

水面から飛び出してくるザトウクジラ(カリブ海)


 ◆ 海の一言 : 『ザトウクジラ』


ザトウは座頭一の座頭で、他のクジラと違って背中が曲がったようなこぶがあるため、こう呼ばれます。英語でもHumpback Whaleで「猫背、せむしの」といった意味です。



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