2005年7月のテーマ写真館




 《 コウテイペンギンの赤ちゃん 》


コウテイペンギンは南極大陸の際のアイス・シェルフや海氷上に集まり、巣は作らず、立ったまま足の上に卵を乗せて抱卵斑で覆って温めます。孵化した雛は寒さから身を守るため親の育児嚢に入って育ち、体が大きくなると育児嚢から出て、子供だけの集団のクレイシに加わります。ブリザードが吹く時は集まって、密集したハドルを作って寒さに耐えます。餌捕りから帰った親は、鳴き声で自分の子供を捜して餌を与え、育った雛は12〜1月に換毛が始まり、2月までにはすっかり大人の羽毛に生え変わります。南極大陸でキャンプし、可愛い子供の写真をたくさん撮影しました。


ブリザードの強風を、育児嚢の中で耐え忍ぶ赤ちゃん

寒さから身を守るために子供が密集して集まり「ハドル」を形成する

ブリザードの強風を、親の影で耐え忍ぶ赤ちゃん


そろそろ育児嚢に入れなくなってきた赤ちゃん

親の育児嚢から顔を出す赤ちゃん

餌をもらう赤ちゃん


ひなの第二幼綿羽は全体に灰色のふさふさした毛

黒い顎の線と額に囲まれ、白い氷上で親が見つけやすい

産毛姿の子供の可愛さはペンギン中で一番


産毛はたった4〜5ヶ月で脱ぎ捨てる

生まれて一年の若い固体が換羽近い雛たちを見守る

たくさんの子供を集めた保育園


 ◆ 海の一言 : 『ペンギン』


「ペンギン」の語源となったのは、北半球に棲んでいた飛べない大きな鳥、オオウミガラスで、頭の白い斑点から古代ケルト語で「白い頭」という意味の「ペン・グウィン」と呼んだのです。その後、南半球でペンギンが発見され、種として記載された時、「ペン・グウィン」に似た発音のラテン語で「太った鳥」「太っちょ」という意味がある penguinusとの属名があてられ、英語のペンギンもこの変形とされます。元祖「ペンギン」のオオウミガラスは絶滅し、南半球の飛べない鳥たちにその名が引き継がれたのです。



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