2005年6月のテーマ写真館




 《 アリューシャン列島 》


アラスカ半島からカムチャツカ半島の先端まで、太平洋とベーリング海を隔てるように弓形に連なる200以上の島々からなるアリューシャン列島。名前は、先住民の呼んでいた発音にちなむ。先住のアリュートの祖先は、およそ9000年前にアジアから移り住んだ。半地下式の住居に暮らし、アザラシ、ラッコ、オットセイ、クジラ、サケなどを食べ、豊かな生活を送っていたといわれる。ベーリング探検隊が立ち寄り、ラッコやオットセイの毛皮を本国に持ち帰ったところ、それが高値で売れたため、1743年から一攫千金を狙うロシア人たちが殺到した。彼らが病気を持ち込み、アリュート人たちに強制的に狩猟させた結果、2万人ほどいたアリュート人は40年間で3分の1に減り、ラッコも絶滅の危機に瀕した。

※アメリカ自然史博物館の人々と共に現地に赴き、貴重な写真撮影を行うことが出来ました。


列島のいちばん西に浮かぶアッツ島で、1942年日本軍が玉砕し、戦争の傷跡が残される

アッツ島では、我が国では貴重な高山植物が低地に生え、短い夏、いっせいに美しい花が咲き乱れる

アッツ島の美しい山並み


キスカ島の名は先住民の言葉で「海峡」などを意味する。兵器の残骸

無数の爆弾クレーターがかつての戦いを物語るキスカ島

キスカ島の山の中腹には鳥居が残されていた


キスカの海岸には船の残骸が残されている

ウナラスカ島は先住民の言葉で「この偉大なる土地」の意味とされる。世界最大の水揚げがある漁業基地、ダッチハーバーがある。ロシア時代の協会も残されている

アトゥカ島の豊かな自然の中、アリューシャンの人々は狩猟の生活をしている


カナガ島付近は海洋生物の宝庫で、保護されて復活したラッコが多数群れる

タナガ島付近の岩礁にはたくさんのハーバーシールが岩に群れ休んでいた

タナガ島は火山の島で、先住民の言葉で「偉大なる土地」の意味とされる


ウンマク島はアリューシャン列島最大の島で、先住民の言葉で「島々の中の大きな島」という意味だとされる

ウンマク島に残るロシア時代の教会

ウンカクの港と集落


 ◆ 海の一言 : 『ベーリング海』


ロシア皇帝ピョートルの命を受けたデンマーク人のヴィトゥス・ベーリングが1回目の探査で到達し、アジアとアメリカが地続きではないことを発見し、ベーリング海、ベーリング海峡など自分の名を付けました。ベーリングはその後の探検でアラスカを発見し、ロシア領としたのです。



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